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日本古来の伝統製法を今に生かす「本格焼酎」というものがあることをご存知ですか。スコッチやブランデーと同じ蒸留酒のカテゴリーに属しながら、食後酒や食前酒としてはもちろん、清酒やワインと同様に食事をしながらたしなむ蒸留酒として人気の酒です。

漢字の語源
漢字では「焼酎」と書きますが「焼」は焼く、「酎」には凝縮するという意味があります。焼酎はすなわち火を使って濃縮したものという意味があります。

日本の「焼酎」にも二種類ある
グレーンウィスキーとモルトウィスキーの違いと同様、日本の「焼酎」にも二種類の分類カテゴリーがあります。ひとつは「甲類」、「ジャパニーズウォッカ」と呼ばれる糖質原料の蒸留酒、もうひとつは「乙類」と呼ばれる単式蒸留によるもので「本格焼酎」とも呼ばれます。甲類はウィスキーでいえばグレーンウィスキー、乙類はモルトウィスキーに近い蒸留方法です。

グレーンウィスキー 焼酎甲類
ジャパニーズウオッカ
焼酎乙類
本格焼酎
モルトウィスキー
穀類 糖蜜(その他) 穀類、その他多種類 穀類
単発酵 単発酵 並行複発酵 単発酵
連続式蒸留機 連続式蒸留機 ポットスティルによる
単式(1度限りの)蒸留
ポットスティルによる
2度蒸留
初留釜:ウオッシュスティル再留釜:スピリッツスティル
40度以上 36度未満 45度以下 40度以上

本格焼酎はモルトウィスキーと比較し蒸留回数が1回限りであることから原料風味が濃厚なこと、麹を使った並行複発酵であること、貯蔵しない新酒でもそのまま飲めるほど柔らかな味わいがあることが3大特長です。

人気で一番人気の「本格焼酎」
日本国内では03年に焼酎の消費量が53年ぶりに清酒を抜いたと報じられました(Nikkei 2004/03/01)。翌年の04年には本格焼酎が甲類を抜き去り、日本国内での人気は本格焼酎に集中しているといっても過言ではないのです。
  • 焼酎の歴史は500年以上、スコッチにも比肩する日本の誇る伝統文化である
  • 国内800社以上ある蔵元は地域に根ざした零細事業者も多い
  • 個性化を競いあうことにより様々な味わいのバリエーションが生まれた
  • ウィスキーと異なりほとんどの蔵元が自社で瓶詰めまで一貫生産することで数千種類ともいわれる
    銘柄が存在する
  • 希少銘柄はオークションで1本4万円以上の値を付けるほど加熱している

焼酎の歴史は500年以上
焼酎の伝来ルートには諸説あるがタイから琉球へ伝わった南方ルート、中国から朝鮮を経て壱岐の島から北九州に伝わった北方ルート、中国大陸から直接伝わったとする説などがある。
1546年に鹿児島を訪れたポルトガル人ジョルジュ・アルバレスの記録によれば日本人がオラーカ(米から造った蒸留酒)を飲んでいたと書かれている。国内の資料では1559年鹿児島の神社の落書きがあります。「神社の施主が大変なケチで仕事を始めてから今まで一度も焼酎をふるまってくれない」という愚痴が木片に書かれておりその頃にはすでに庶民の飲み物として普及していたことがわかります。

焼酎の味わいの決定要因
本格焼酎には原料由来の味わい、香りがありワインや日本酒と同じように味わいのバリエーションが豊富です。しかしながら原材料、麹菌、蒸留、貯蔵の4つのポイントがわかれば数千もある銘柄でもだいたいの特性をある程度把握することができます。好きな一杯を見つけるたらしめたものです。4つのポイントを手がかりに自分好みの一杯を探し始めると、そこから広がる焼酎の奥行きはとても深いものです。
-焼酎の味わいを決める4つのポイント-

原材料     麹菌    蒸留方法     貯蔵方法
ポイント1 原材料は60種以上!?
  本格焼酎に用いられる原料はゆうに60種を超え、原料特性が味わいにもっとも影響を与えます。代表的なものは、麦、米、甘藷、デーツなどです。

大麦 二条大麦を主に使います。軽快で飲みやすいタイプ
うまみやまろやかさ、独特の甘みや芳醇な香りが特徴、球磨焼酎と琉球泡盛が有名ですが麦焼酎や芋焼酎でも1次仕込みで米を使う場合があります。
さつまいも ホクホクとした甘藷の甘み、お菓子やケーキのような香り、芳醇なコクなど原料芋の酒類が直接的に味わいに影響します。
デーツ 中近東原産のフルーツでとても甘みがあります。

ポイント2 麹菌は日本古来の伝統文化
  日本酒も焼酎も一番の特長は麹という微生物を使うという点です。世界の醸造酒、蒸留酒は酵母のみを使って醸造しますが、日本の酒、焼酎は酵母以外に麹を使うというのがもっとも特長があります。日本人は古来からカビの一種である麹を使って様々な加工食品を作ってきました。ミソスープの味噌、納豆、漬物など我々の生活に定着した文化なのです。ブルーチーズも麹に似た菌を使っています。

黒麹 伝統的な麹菌で長い歴史を持ちます。こってりとしたコクがあり濃厚な味わいにることから個性が際立ちます。
白麹 もっとも一般的で焼酎に多く使われる麹菌です。軽快でおだやかな味わい、すっきりとした飲み口になります。
黄麹 日本酒の麹菌として使われてきた伝統的な麹菌ですが、焼酎づくりにおいては熱に弱く管理が難しいため敬遠されてきましたが最近復活しつつあります。

ちょっと専門的ですが、
ワインもビールも原料成分に糖分が含まれているため酵母によって発酵が進みます。しかしながら日本酒や焼酎は原料に穀物(米、麦、甘藷など)を使うためもともと糖分を含まない原料を使っているのです。日本酒、焼酎の場合、米に酵母だけを加えても発酵は進みません。

日本酒や焼酎の発酵には、コメや麦、甘藷の澱粉を糖分に変える麹が必要です。「この工程を『糖化』と言います。」 糖分に酵母が加わることによって、発酵が始まります。 この工程を「並行複発酵」と呼び、同じ容器の中で糖化と発酵が同時に・並行的に行われるのです。

ウィスキーと異なり麦芽糖を使わずに麹の糖化力によって発酵を進めることが日本古来の伝統製法とも呼べる部分です。麹の力は偉大であり、麹菌が発生するクエン酸によって微生物の活動をコントロールし、有機酸や乳酸などが焼酎に独特の風味を与えます。

麹と酵母は味わいを決定する大きな要因です。日本酒では発酵工程で華やかでフルーティーな香りを発する特別な種類の酵母を使います。

ポイント3 単式蒸留は世界の蒸留酒のなかでも希少
  本格焼酎は単式蒸留、しかも最初と最後の部分をカットしたまんなかのまろやかな部分だけを使うことが多いのです。蒸留方法には二種類あり、ポットスティル(蒸留機)も木桶やステンレス、錫製のもの、サイズや形状など様々で蔵毎に個性があります。

常圧蒸留 蒸留機の中の気圧調整をせずに蒸留する方法でアルコールが揮発する沸点が高く原料成分の味わいが強く蒸留酒に反映される。
減圧蒸留 蒸留機の中の気圧を低下させ真空に近い状態で蒸留します。沸点が低い状態で蒸留するため癖のない軽やかな味わい、アタックはやわらかになります。

ポイント4 貯蔵には3種類
  スコッチやブランデーと同じように焼酎にも樫樽やシェリーの空き樽に貯蔵したものがあります。熟成によってまろやかで深みのある味わいとなります。

樽貯蔵 樫樽やシェリーの空き樽を使います。樽からのもらい香や琥珀色の美しい色が特徴。
甕貯蔵 素焼きの甕には微細な孔から空気が通ること、甕の呼吸と遠赤外線効果により熟成がすすみます。無色透明で色はなくマイルドな味わいに仕上がります。
タンク貯蔵 ステンレスやホーロータンクで熟成を進めるもので容器からの不要な影響を抑えるため原料本来の味わいをストレートに生かします。

※一部のウオッカやジンのように薬草を漬け込むことや糖分を加えることはありません。エキス分が2% を超えるものは焼酎とは呼べません。


焼酎の楽しみ方
日本酒も焼酎ももっとも大きな特徴は食事をしながら楽しむという点です。特に焼酎は世界の蒸留酒の中でも珍しく食事とあわせる楽しみがあります。ワインとブランデーのように食中、食後という棲み分けがありません。もちろん食後に飲むタイプの日本酒や焼酎もありますから日本人は食事が始まってから飲んだくれて倒れるまで数種類の酒を思う存分に楽しむことができるのです。
日本人はアルコール耐性が欧米人に比較してない(低い)ため、低アルコールで時間をかけて楽しむ日本酒や焼酎が広まったと思われます。

焼酎はお湯割り、オンザロック、クラッシュアイス割り、ストレートなど様々な温度帯で楽しめるほか、水との割合を自在に調整できるため「水のカクテル」と呼べる楽しみ方があります。

酒器に関しては特別な決まりはありません。材質・形状に関係なくお好みの器、グラスで飲みます。

茶道における抹茶椀は湯温を下げ、茶の香りを楽しむために厚手の広口につくられています。高級な抹茶と同じように芋焼酎なども熱いお湯よりもちょっと温度の下げた70度程度の湯で割ると甘味が出ます。この意味で抹茶椀の湯割りなどは非常に理にかなった提供方法といえます。

焼酎や酒でカクテルができます。Sakeは、いろいろな香り、味わいをもっていますから、様々なフルーツやリキュール類とよく馴染みます。

焼酎は、日本料理や中華料理との相性はもちろん西洋料理にもよくあいます。

材料、料理方法に関係なく世界中のほぼどのような料理にもよく合います。だからこそ、日本ではフランス料理やイタリア料理などの洋食レストランでも焼酎が提供されているのです。

焼酎、素材の味を高め、また同時に肉やシーフードの強い匂いを和らげます。したがって、焼酎、日本料理や西洋料理の仕込みとか味付けにも広く用いられています。
 
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